AIを入れたい。でも何から始めればいいか分からない。いちばん多い相談です。
AIを入れたい、という相談が増えました。ただ、そのあとに続く言葉はだいたい同じです。何から手をつければいいのか分からない。
情報は毎日入ってきます。新しい道具の話も、便利な使い方の話も、いくらでも出てきます。それなのに、自分の店は何も変わっていない。私にも、その時期がありました。
順番が決まっている理由
AIは、入れれば勝手に効くものではありません。どこに入れるかで、効き方がまったく変わります。
最初に効いた場所があると、次に入れる場所は自分で分かるようになります。あれもできるのではないか、これも渡せるのではないか、と思いつくようになるからです。逆に、最初の1つで手応えがないと、そこで止まります。だから順番が要ります。
順番を決めるときの物差しは、便利かどうかではありません。毎日発生しているか、そして判断が早くなるか。この2つで見ています。
1番目は、毎日くり返していること
最初に置き換えるのは、毎日または毎週、必ず発生している作業です。事務まわりと、SNSまわり。この2つから始めています。
事務まわりというのは、たとえば、いただいた書類の整理、月末に出す書類のたたき台、打ち合わせのメモのまとめのような作業です。SNSまわりは、投稿の文章とキャプションです。
ここから始める理由は2つあります。ひとつは、毎日くり返すものほど、置き換えたときに浮く時間が積み上がること。もうひとつは、間違えても大きな事故にならないことです。
最初の1つで手応えがないと、そこで止まります。だから、当たりやすくて、毎日動くものから入ります。
SNSについては、ひとつだけ補足があります。あなたの店のことを何も渡していない状態で書かせると、世の中の平均が出てきます。どこかで見た文章になって、結局は自分で書き直すことになる。先に、自分が何を選んで、何をやめてきたのかを渡しておくと、出てくるものが変わります。
2番目は、作るのも管理も大変なもの
次に手をつけるのは、作るのに時間がかかって、そのあと管理し続けるのも大変なものです。
面談の記録。マニュアル。講習やミーティングで使う資料。どれも、作るときにまとまった時間が要るうえに、内容が変わるたびに直す必要があります。だから後回しになって、気づくと古いまま残ります。
ここが変わると、店の中の会話が噛み合うようになります。面談は前回の続きから始められますし、教える内容もそろいます。
順番として2番目にしているのは、1番目より決めることが多いからです。何を残すのか、どこまで書くのか、誰が見るのか。ここを決めないまま作ると、出来上がっても使われません。
3番目に、やっと大事なもの
最後に手をつけるのが、いちばん大事なところです。サロンの数字。給料の計算。ホームページ。
大事なのに最後なのか、と思われるかもしれません。理由は、ここが間違えられない場所だからです。
数字は、間違ったまま出てくると判断ごと狂います。給料は、1円のずれでも信用に関わります。ホームページは、外から見られる場所です。どれも、出てきたものをそのまま信じてはいけない領域です。
だから、1番目と2番目で感覚をつかんでから入ります。どこを確かめればいいか、どこがずれやすいかが分かっている状態で触ると、事故が起きません。逆に、いきなりここから入って、出てきた数字を鵜呑みにするのがいちばん危ないです。
私も、数字まわりは最後に手をつけました。今は毎朝、前の日の数字が届くようにしていますが、そこに至るまでに、確かめる仕組みのほうを先に作っています。
やってはいけない順番
いちばん多い失敗は、面白そうなものから手をつけることです。新しい機能が出た、話題になっている、だから触ってみる。
触ること自体は悪くありませんし、触った回数が多い人ほど伸びます。ただ、それは順番の外側の話です。目的から入った人は続きますが、面白そうだから入った人は途中でやめます。ここは、はっきり分かれます。
もうひとつは、いきなり大きいものを作ろうとすることです。全部を一度に自動にしようとすると、決めることが多すぎて動き出せません。小さく1つ、毎日動くものから始めたほうが結局は早いです。
最初の1つを選ぶときの3つの質問
迷ったときは、この3つで選んでいます。
1つ目。それは毎日または毎週、必ず起きていますか? 2つ目。それを見て、次の行動が変わりますか? 3つ目。誰がやっても同じ結果になるものですか?
3つとも当てはまるものが、最初の1つです。3つ目が当てはまるということは、人がやらなくていい仕事だという意味でもあります。人は、その結果を見て決めるほうに使ったほうがいいと思っています。
自分でやる線と、任せる線
道具を触ることと、仕組みを作ることは別です。前者は誰でもできますし、やったほうがいいと思っています。触らないと、何を頼めるかも分からないからです。
後者は、自分の店に合わせて形を決める作業です。何を渡すか、どこに置くか、止まったときにどうやって気づくか。ここが決まっていないと、動いていたはずのものが静かに止まります。
私は自分の店の分を自分で作りましたが、いちばん時間を使ったのは、最初の1つを決めるところでした。逆に言えば、そこさえ決まれば、あとは進みます。
今日、何をするか
まず、毎日または毎週くり返している作業を、思いつくまま紙に書き出してみてください。5つも出れば十分です。
その中から、見たあとに行動が変わるものを1つだけ選びます。集計でも、確認でも構いません。選んだら、それが今のところ何分かかっているかを、ざっくりでいいので出しておきます。
そこまで決まっていれば、あとは形にするだけです。逆に、ここが決まっていないまま道具の話から入ると、何度でも同じところで止まります。
全部を任せる必要はありません。1つ動けば、次に渡せるものが自分で見えるようになります。そこから先は、思っているより早いです。
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