▲ この記事の内容は、動画でもお話ししています(約7分)。
AIでアイラッシュ業界はどう変わるんだろう。自分の仕事には、どんな影響があるんだろう。
そう思っているアイリストに向けて書いています。
私はアイラッシュサロンなど4店舗を経営しつつ、集客や求人、コンテンツ作成、事務作業など、かなりの部分をAIに任せています。その立場から、これから何が起きるのかを書きます。
先に結論を書きます。AIは、自分の能力を拡張する道具です。自動で売上が上がる魔法ではありません。
講座を作る。デザインする。動画を作る。マーケティングを設計する。今まで1人では手が届かなかったことに、手が届くようになります。
そしてもうひとつ。全員が使えるようになるわけではありません。ここが、この先いちばん大きな差になると見ています。
まず「変わらないこと」から
未来予想は、変わるところから書きたくなります。でも、それと同じくらい大事なのは、変わらないところの方です。
- 手は残りますまぶたの上に1本ずつ乗せる作業は物理です。人の目の上で、人の手が動く。ここは当面変わりません。
- 「この人に任せたい」も残りますむしろこれは、この先いちばん大事な話になります。後半で書きます。
- 1日に施術できる人数も変わりません席と手の数が、施術売上の上限を作る構造はそのままです。
だから、施術の売上は10倍になりません。10倍が起きるとしたら、施術以外のところです。ここも後半で書きます。
1年〜3年これから1〜3年で起きること
もう芽が出ているものだけを書きます。
① 事務仕事は、ほとんどなくなる
一番確実で、一番地味で、一番効きます。参考までに、私がAIでやっているものを並べます。
- 毎日の売上集計
- 売上・リピート率の分析
- 歩合の給料計算
- マニュアル作成
- 動画作成
- ナレーション
- コンテンツ作成
- スタッフの面談記録
- ミーティングの記録
- 請求書作成
これは「そのうちできる」ではなく、今動いているものです。毎日の集計は、私が寝ている間に終わっています。これだけで、月に何十時間も得をしています。
逆に、ここを手作業のまま持ち続けると、その分だけ考える時間が減り続けます。差がつくのは能力ではなく、時間の使い道です。
② 人間の能力が拡張する(=ここで売上が伸びる)
事務が減るのは「守り」です。本題は攻めの方です。
今まで、1人のアイリストが自分でできることには限界がありました。講座を作る。教材をデザインする。動画を編集する。広告を設計する。どれも外注か、諦めるかの二択でした。
これが、1人でできるようになります。そして施術と違い、コンテンツ販売や講座販売には席数の上限がありません。1人に売っても100人に売っても、作る手間はほぼ同じです。
売上が大きく伸びるとしたら、ここです。施術単価を上げる話ではなく、施術以外の柱が立つ話です。
ただし、誰でもできるわけではありません。できる人と、できない人の差が、そのまま収入の差になります。
③ 動画の「撮影」がなくなる
すでに、ほぼ本人と同じ見た目・同じ声で話す映像が作れます。この記事の上に置いた動画も、そうやって作ったものです。
つまり、カメラの前に立つ時間、撮り直す時間、編集する時間が消えます。意味が大きいのは、動画が集客と求人の両方に効くことです。
集客なら、サロンの雰囲気や施術の考え方、デザインの説明。求人なら、どんな人が働いているか、どういうお店か。今まで「撮影が続かない」で止まっていたところが、止まらなくなります。
④ 情報そのものの価値が、なくなる
これが一番大きい変化かもしれません。「まつげパーマの持ちを良くする方法」も「サロンの集客方法」も、これからは誰でも、無料で、いくらでも出せます。情報を持っていること自体が、価値ではなくなります。
これはサロンの発信だけの話ではありません。講座やコンテンツ販売も、まったく同じです。中身が同じものなら、いくらでも作れてしまうからです。
では何が残るか。誰が言っているか。誰から教わるか。誰のサービスか。同じ内容でも、誰の口から出たかで価値が変わる。むしろ、そこしか残らなくなります。
5〜10年で変わる「構造」
ここからは確度が下がります。外すかもしれない前提で読んでください。
① 使える人と使えない人の差が、開き続ける
「そのうち全員が使うから、差はなくなる」と言われます。私はそう思いません。この差は、縮まらずに開きます。理由は単純です。
使える人は、事務が減って時間が空きます。空いた時間で、また新しい使い方を覚えます。覚えた分だけ、さらに時間が空きます。一方で、使っていない人は手作業のままです。時間が空かないので、学ぶ時間も取れません。
つまりこの差は、足し算ではなく、積み重なる形で開いていきます。1年後より、3年後の方が離れます。
そしてもうひとつ厄介なことがあります。使えるようになっても、何に使えばいいか分からない人が増えます。道具は手元にあるのに、何も変わらない。宝の持ち腐れの状態です。
だから、この差は「知っているかどうか」では決まりません。使って、試して、自分の仕事に当てはめた回数で決まります。
② 二極化して、真ん中が薄くなる
この業界は、もともと1人サロンで有名な人が多い業界です。その人たちがAIを使えるようになると、講習・教材・コンテンツ販売が一気に加速します。すでに知名度と信頼があるところに、作る力が乗るからです。
一方、使えない側はどうなるか。講習や教材は、一部の力のある人たちがほとんど独占します。コンテンツ販売の世界は、強い人が生まれるとそこに一気に集まるからです。似た内容が並んだとき、選ばれるのは「誰か」で決まります。後から同じ土俵に上がっても、勝ち目がなくなります。
そうなると、残るのは施術売上だけです。収入に構造的な上限が来ます。そこを超えるには、人を採って組織にするしかありません。
だから、これからは選択が必要になります。1人で突き抜けるのか、組織として強くなるのか。
そして1人で突き抜ける道は、今まで以上に厳しくなります。知名度や能力が高い人のところに集まってしまうからです。だからこそ、早めに「自分は誰なのか」を積み始める意味があります。
③ 一次情報の価値は、上がる
AIが世の中の文章を作るほど、実際にやった人の生の情報が希少になります。
毎日お客様のまつ毛と向き合っている。この商材とこの商材の違いを、実体験ベースで知っている。このデザインは40代のこういう目元だと浮く、と経験で言える。
これは現場にしかありません。現場を持っていることは、この先はっきり資産になります。だから、現場を捨てて発信だけの人になるのは、たぶん逆です。
④ 最後に残るのは「この人にやってほしい」
情報の価値がなくなり、作れるものが誰でも同じになっていく。そうなったとき、最後まで残るのは、人が人を選ぶ理由の方です。
AIが世の中に増えるほど、ここは相対的に希少になります。そしてこれは、あとから急には作れません。今のうちから積むものです。
必要になるスキルは、ひとつ
結論から言うと、AIを使いこなす能力です。そしてこれは「操作を覚える」という意味ではありません。
イメージとしては、F1マシンを渡されるようなものです。誰でも乗れます。でも乗りこなせなければ、意味がありません。むしろ危ない。
乗りこなすために必要なのは、この3つだと考えています。
- 基礎知識(何ができるのかを知っていること)「これ、AIでできるかも」と思いつけるかどうかが、すべての入口です。給料計算ができるのを知らなければ、一生手で計算します。動画が作れるのを知らなければ、一生撮影で止まります。知らないことは、頼めません。
- 指示する力(何を作りたいのかを、自分が決められること)「いい感じの投稿を作って」では、いい感じにはなりません。誰に、何を、どういう順番で伝えたいのか。それを言葉にできる人だけが使えます。つまり、AIを使う能力の大部分は、自分の考えを言葉にする力です。
- マーケティングの知識ここが、たぶん一番見落とされます。誰に売るのか。何が刺さるのか。どういう順番で知ってもらうのか。いくらにするのか。ここが分かっていないと、きれいなLPも、量産した動画も、成果につながりません。道具が速くなるほど、行き先を間違えたときの損も大きくなります。
伸びる可能性が高いのは、こういう人
ここまでを踏まえると、伸びる人の輪郭はかなりはっきりします。
- とにかく使っている人詳しさではなく、触った回数です。差が開くのは知識の量ではなく、自分の仕事に当てはめた回数の方です。
- 「これ、AIでできないかな」と思いつける人思いついた数が、そのまま任せられる仕事の数になります。
- 自分の考えを言葉にできる人整理されていなくていい。「まとまってないんですけど」から話し始められる人が強いです。指示できる人が、使える人です。
- すでに名前が知られている人情報の価値がなくなった世界では、「誰か」が価値になります。信頼という一番時間のかかる部分ができている人は、いちばん加速します。
- 発信を止めない人今から名前を作る側は、ここでしか追いつけません。内容ではなく「誰なのか」を積む場として、発信を続けられる人です。
- マーケティングを学ぶ人作れることと、売れることは別です。行き先を決められる人だけが、拡張した能力を成果に変えられます。
- 「この人にやってほしい」と思われている人指名の理由を持っている人。ここは長い目で見て、いちばん最後まで残る価値です。
- 現場を持ち続けている人一次情報の源を手放さない人。発信だけの人になった瞬間、話せる中身が枯れます。
- どちらの道を行くか決めた人1人で突き抜けるのか、組織として強くなるのか。決めた人から先に動きます。
逆に、伸びにくくなる構造
人を批判したいのではなく、構造の話です。
- そもそもAIを使わない状態
- 道具はあるのに、何に使うか決めていない状態
- 情報を仕入れ続けるだけの状態
- 全部を自分の手でやり続ける前提
- 1人で突き抜けるのか組織かを、決めないまま時間が過ぎる状態
どれも真面目な人ほどハマります。私も全部やりました。
明日、何をするか
大きい話をしたので、最後は一番小さいところに戻します。
- 今週やった作業を、10個書き出す集計、返信、シフト、原稿、報告、書類。なんでもいいので、自分の手が動いたものを並べます。そのうち1つでいいので、「これ、AIでできませんか」と聞いてみる。できるかどうかを調べるのではなく、聞いてみるのが大事です。「何ができるかの地図」は、こうやってしか増えません。
- 自分の名前で、1本出す自分の意見や考えをもとにした投稿を1つ。うまく書けなくて構いません。「誰なのか」は、うまさではなく回数で積まれます。
- 自分はどっちの道なのか、一度考える1人で突き抜けるのか、組織として強くなるのか。今日決める必要はありません。ただ、一度考えたことがあるかどうかで、次の1年の使い方が変わります。
おわりに
AIが来て、アイリストの仕事がなくなる。そういう話ではないと思っています。
なくなるのは、施術以外の作業と、情報そのものの価値です。そして拡張されるのは、1人でできることの範囲です。そのとき手元に残るのは、施術と、「誰なのか」です。
だから必要になるのは、新しい道具を追いかけることより、その道具で何をするのかを、自分で決められるようになることなのだと思います。
確実に伸びる方法は、私も知りません。ただ、時間が返ってきて、自分の名前が積み上がって、行き先が決まっていけば、その分だけ、改善していけます。
「これ、AIでできませんか」の1つ目を決める前に。
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